今週の相場は、2022年から始まった自分の短い投資人生において間違いなく最大の下落であった。
トータルで350万円超の損切りを余儀なくされ、現物保有銘柄の含み益剥落も加味すれば、前週末から実に450万円以上の資産が失われたことになる。これは自分の短中期投資枠の実に25%に相当する。
正直たまらん。
が、このままぶっ倒れててもしょうがないし致命的なダメージを受けたわけでもないのでなんとか立ち上がりたい。
この経験を今後の長い投資人生の糧とすべく、僭越ながら自分にとっての「しかみ像」をここに残したく思う。
重要なのは当時の感情だと思う。
未熟な自分は当時何を考え・感じ、損失を出したのか。
感情・記憶は揮発的なものであり、これを記録として将来の自分に渡す為に記事として残しておこう。
損失の概要
まずは今回の自分の損失を大まかに振り返っておこう。
損失の内訳
- PKSHA:-30万円
- アドバンテック:-70万円
- ワコム:-15万円
- フジクラ:-40万円
- 三井物産:-30万円
- マネックス:-15万円
- ソフトバンク:-30万円
- 三菱UFJ:-20万円
- 三井住友フィナンシャルG:-40万円
- 日本郵船:-25万円
- 商船三井:-20万円
投資スタンス別の振り返り
今回の損失には、それぞれの銘柄で異なる投資スタンスが絡んでいた。
まず、値上がりを期待して前週末から保有していたのがPKSHA、アドバンテック、ワコム、フジクラ、ソフトバンク、三井物産などの銘柄。これらはいずれもPBRが高めで、今週の前半、下落の中でチャート上のボリンジャーバンド(-2σ〜-3σ)を根拠に「下がったとはいえ、そろそろ買い時やろう」と思い、買い増した。
普段の自分の判断基準からすると間違っていたわけではなかった——はずだった。
だが、振り返れば、そのときすでに市場全体がパニック状態に陥っていた。テクニカルが示すものと、相場全体の空気とが乖離していた。その「空気」にもっと早く気づくべきだった。
一方で、高配当を背景に“下値の堅さ”を信じて週中に新たに買い建てたのが、三菱UFJ銀行、三井住友フィナンシャルG、日本郵船、商船三井といった銘柄。
これらは、自分が考えていた配当利回りのラインを軽々とぶち抜いて下落し、「こりゃ持ちきれん!!」という強烈な恐怖に変わり、損切りにつながった。
損失の要因分析
これらの損失はどのようにして発生してしまったのか。
自身の投資行動のどこが間違っていたのか。
それを振り返り将来の糧としたい。
想定の甘さ
今回の敗因のひとつは、間違いなく「想像力の不足」だったと思う。
「ここまで下がれば底だろう」「そろそろ反転やろう」と考えた瞬間こそが、まだまだ全然落とし穴ではなかった。
これまでの相場であれば反転のポイントとなっていたところを完全にぶち抜くケースが全然あり得る、という事を自分はまだまだわかっていなかったように思う。
故に「ここまで下がったら買い増そう」という指値を複数置いておき、それらが全て刺さって建玉の規模を増大させ、被害を拡大させてしまったのだ。
過去の経験や直感に頼りすぎ、最悪のケースへの想定が甘かった。
信用取引のリスク
現物であれば、下がっても「まぁ配当が落ちなければいいでしょう」として持ち続けることは可能だ。(今後の不景気で配当までも落ちることは有るかもしれないが)
他方、信用取引の場合、持ち続ける事は非常に困難だと今回改めて思った。
当然金利はかかってくるし強制決済もあり得る。
この事が自分にとって想定以上に精神的な重しに繋がるんだということが今回わかったと思う。
(というかそもそもエントリーポイントが悪かったというのは有るが)
投げ売りの思考
株は安い時に買い、高い時に売るものだ。
だから安くなったときにパニックになって売っちゃいけない。
安くなったら買い場だと思って底堅い高配当株を買わなきゃいけない。
基本的には今でもそう思っているが、今回のように「これからまだまだ下がる」と思った時自分は持ちきれないんだとわかった。(多くの人がそうだと思うが)
市場全体が「これからも大きく下がる!」と感じた時、売りが売りを呼び、大きな下落が起こる。
そこは危険地帯であり、多少の痛みを伴ってでも「いち早く」逃げなければいけない。
今回はその「いち早く」が全く足りていなかった。
過去の成功体験、あるいは失敗の呼び水
昨年の植田ショックのあとのリバウンドが今回の損失の呼び水となっている事は疑いようがない。
当時自分は下落時に三菱UFJ銀行などの株を1,200円ほどで買う事ができ、「もっと買えばよかった…!」と後悔したものだ。
その時の記憶・感情が今回の下落に望んでの「今買わなきゃまた後悔する!」という欲・恐怖につながったと思う。
反省点と今後に向けて
今回の経験をもとに、今後どうするを考えておこう。
ポジションサイズの管理
今回の失敗ではポジションサイズが明らかに自分の器量を超えていたと思う。
いや、正確にはポジションサイズはある程度意識しつつも、一部刺さらないであろうことを前提とした指値が全て刺さってしまい、意図せずポジションを大きくしてしまった事が問題な気がする。
ロットを大きくして損を出すと、取り返すのにはとてつもない時間がかかる。
そして何より、次の一手が怖くて打てなくなる。
この時間およびメンタルへのダメージこそが最も避けるべき事であると感じた。
加えて、信用取引のコストという“見えにくい出血”が精神力を削っていく。
3,000万円を半年保有しているだけで、金利コストとして約50万円。
これを考慮すれば、「握っていればそのうち上がるやろう」といった思考は幻想に過ぎない。
信用取引は、一種のバフ(強化魔法)だ。だがそのバフには代償がある
- 与えるダメージ(利益)も増えるが、被ダメージ(損失)も倍になる。
- 持っているだけで持続ダメージ(コスト)を受け続ける。
- 最後にバフを解除したときに、蓄積された損失が一気に襲ってくる。
要はフロムゲーで言うと、「獣血の丸薬」を使用した上で「常時出血蓄積している状態」である。
そら常人に過ぎない自分には扱いきれんわ。
今後は通常時は自身のメンタルを正常に保てるポジションサイズ(信用ならおそらく1,000万位の感覚)の更に半分程度を限度として持つようにしたい。
ポジションの最大リスクを大目に見こむ
「常にポジションを持っていること」がリスクであるということを、改めて実感した。 現物だろうと信用だろうと、マーケットに身を晒している以上は常に危険と隣り合わせだ。
ちなみに信用枠はほぼ全て切ったが現物はまだ全然持っている状態である。
現物で持っている銘柄は何がどうなろうが売る気はない(つもり)ので、今後も含み損が拡大し続ける可能性が大いにある。
その時どのくらい下落するのか?50%なら?75%なら?を想定して心の準備をしておく必要があると感じた。
欲と恐怖をコントロールする
日中の相場よりも、むしろ夜間の先物や米国市場、為替の値動きの方が精神的にキツい。
加えて、SNSを通じて流れてくる情報の洪水が恐怖を加速させる。
まるで、ジェットコースターの頂上にいて、落下を待っているような心地だった。
そのような感情を持つほどの規模の玉を建てていること自体がそもそも敗北なのだ。
情報との距離感を保つ
Twitterのおすすめ欄は、恐怖を倍増させる毒にもなりうる。
フォローしているアカウントだけを見るようにした上で、自分なりに情報を咀嚼する力を鍛えていく必要があると強く感じた。
とはいえなんでまだちょっとポジティブにいられるのか
これだけの下落を受けても、自分はまだ「株なんてもうやめよう」みたいな考えには全くなっていないと感じる。
(しっかりメンタルにダメージを受けてはいるが)
それはなぜかというと、以下のような要因が有るからだろう。
-本業の収入がある
-今回の損失があったとしても、投資元本が毀損されたわけではない
-今回の下落があっても、長期用の口座に入れているオルカンなんかはまだ含み益が有る。
という事は今回の下落も長い目で見ると押し目という事は全然有ると思う。
なので、長い目で見れば今回の損失は取り返していけると思うし、仮に取り返せなかったとしても自分の人生に致命的なダメージが出るまではいかないと思えている。
(少なくとも今はまだ。これから更に景気悪化が来たりして会社の業績が悪くなったら全然発狂するかもしれん)
逆に言うと、上記のような心の支えを失った時、自分は真の恐怖とパニックに支配されるという事を覚えて置かないといけない
まとめ――しかみ像としての記録
- よく言われることだが、リスク許容度は自分の想像以上に小さい。
- リスク許容度をある程度意識していても、自分の迂闊で軽率な行動でリスク許容度を越えてしまう事は全然あり得る。
- 下落時の欲・恐怖をコントロールしないといけない。
これまでの経験では利益のチャンスであっても、絶対に突っ込みきってはいけない。
取り逃がしたリバウンドはただの結果として感受すべきものである。 - 情報に振り回されてはいけない。
自分で言語化した判断を元に実施した行動しか、利益・損失ともに意味を持たない時間の無駄である。
逆に言えば自身の判断をもとに実行した取引は、その結果が利益でも損失でも自身にとっての投資歴の1ページになると思う。 - 今回は大幅な損失を食らってしまったが、今後の投資人生の中でこの損失に意味を持たせられるように精進していきたい。
ここで投資をやめてしまえば、今回の損失はただのアホな行動で終わるが、今回のことをきちんと今後の行動に活かせればそれは立派にまともな個人投資家になることに繋がる第一歩に変わると思う。
今回の経験は、損失を被った世界中の個人投資家の一人としてダメージを受ける事でしか得られないものだったと思うからだ。(というかそう思わんとやっとれん)
というわけで、泣きながら明日も市場に身を置く決意を新たにしました…という所で今回は終わろうと思う。
数年後に「あの時やめなくてよかった…」と思えていることを祈って。
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